2015年7月18日土曜日

進化するジビエ

キジバト(ヤマバト)は、日本古来の野生のハトで、季節に合わせて日本列島を南北に移動する、いわゆる「漂鳥」です。

 
日本の山林によくなじんだ和風の色模様と、「デデーッポッポー」と低い声で歌うように鳴く声が、美しく愛らしい生き物なのですが、農家にとっては、せっかく実った豆類を食い荒らすだけでなく、大根の芽なども一本一本抜き取って食べてしまうという、やっかいな害鳥です。

 
北海道では夏鳥(冬になると津軽海峡を渡って南下してしまう)なので、まさに今の時期、駆除に励むことになりますが。
 
 
家庭ではなかなか、焼き鳥にする以外の食べ方が分からないので、ハトの美味しい食べ方を知りたいというのが長年の課題でした。
 
上(骨が見えている)がモモ肉、下がムネ肉です
 
そんなところに偶然、シェフが全員ハンターだという「CAMARADE SAPPORO」で、自社狩猟によるキジバトの特別ディナーコースとワインを味わう「雉鳩会」が開催されるという情報があり、それこそ滅多に無いチャンスなので行って来ました。
 
 
ちなみに、玄ちゃんは、撃ち落としたハトを探しに行って見つけ出してはくれますが、ハト肉もカモ肉もいっさい食べません。
お出かけと聞いて、こんな笑顔で嬉しそうにしてますが、今回は当然、お留守番です。
 
 
さて、ハトで始まりハトで終わるコースの最初の一皿は「十勝産雉鳩のムース バター香るブリオッシュと共に」
ムースと言うよりもレバーペースト風と言ったほうが分かりやすいでしょうか?
ブリオッシュに塗って、イチジクを乗せていただきますが、まったく臭みの無いまろやかな味でした。
 
付け合わせはイチジク 甘く煮たもの
 
二皿目は「ELEZO・PARTY 渾身のテリーヌ ド ピジョン」
ELEZO社はCAMARADEの親会社で、十勝で狩猟と畜産、食肉加工を営む企業です。ピジョンはフランス語でハトの意味。
 
渾身のテリーヌは、シカのひき肉とハトの肉を層状に重ね、真ん中にイチジクをはさんだもの。
見た目に美しく、シカとハトの食感の違いも楽しい一品でした。

付け合せはビーツ ピクルスのような酸味で
このビーツがまた美味しかった

三皿目は「十勝産雉鳩のソーシス シューブレゼ添え」
ソーシスはソーセージ。これも、シカのひき肉とハトを合わせて作ったそうです。
シューブレゼはキャベツの煮込みですが、さらに、ヒグマの内臓のトマト煮を添えて。

ヒグマの内臓は初めて食べたかも・・・
 
うん、すごく美味しい!間違いなくぜんぶ美味しい!野菜も実に美味しい!
とにかく、ELEZO社の肉製品(シャルキュトリー)はどれもこれも絶品なのですが、正直言って、シカ肉と合わせてしまうと、ハトの風味は感じにくくて、美味しい!でも、これって何の肉?といった感じになります。
 
しかし最後の四皿目、メインとなる「十勝産雉鳩1羽ロースト 緑胡椒のソース」は違いました。
ご覧のとおり、1羽を丸ごとローストし、背骨に沿ってタテ真っ二つにカットしてあります。
これぞハト。脚を持って豪快にかぶりつくのが正しい食べ方で、フィンガーボール(水ではなくてウーロン茶でした)も用意されていました。

 
分かりにくいかもしれませんが、体の内側から、ササミ、ムネ、モモの3つの部位の肉を味わうことができ、それぞれ歯ごたえも味も違うということが良く分かりました。
 
赤身の野鳥類(カモ、ハト)は一般的に、ササミはごく小さくてあっさり、
モモは歯ごたえがあって肉の味も濃い、
ムネ肉が一番、鳥の種類による風味の違いが強く出て、ワイルドな味だと思います。
 
ハトのムネ肉にはハトにしかない、ちょっと青くさいような独特の風味と皮の歯ごたえがあるのですが、こればかりは実際に食べていただかないと説明が難しい。
足先(ニワトリで言うならモミジ)まできれいに食べちゃった同行者。
 
こんがり焼かれたモミジ、コラーゲンたっぷりの香ばしい味だと
 
CAMARADEでも、キジバトは常時出しているメニューではなくて、この日のために、シェフたちが空気銃で計60羽あまりを確保したそうです。(お客さん1人当たり4羽を使用)
その労力たるや、頭が下がりますね・・・(撃つこともですが、毛むしり、解体、ミンチの作業が)
 
 
写真は省略しましたが、ワインはすべてピノ・ノワール種のブドウを使用した、泡・白・赤・赤の計4種類と、最後に、メニューには無い奥尻のロゼも出て来ました。
あと、ローストしたキジバトのソースと肉汁にぴったり合う、強い風味の全粒粉パンと食後のコーヒーも。
 
 
キジバトの食べ方にもこんなにバリエーションがあるのねと、勉強になりました。
会費は8,000円と、決してお安くはないんですが、こうやって、エゾシカ以外のジビエもしっかり楽しめるようになって、北海道のジビエ文化もすごく進化したんだなと思います。
 
もっとも、これらの加工、料理を家庭でできるかと言われると?ムリムリムリなんでありますが(笑)
 
 
KJとお留守番していた玄ちゃんは、お弁当のおすそ分けをいただいたようです。
 
 
玄には、KJといっしょにトラックの中で食べるお弁当がなんたって世界一かな!
 
 
 
 
 
 
 
 


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