2018年12月11日火曜日

展覧会を振り返る。(その2)

 
 
10月の末、釈然としない結果で終わった秋田支部展から、今年は宮城で開催される東北連合展(北海道・東北ブロックの展覧会)まで、わずか1週間しかなく、KJは相当に出陳を迷いました。
 
 
申し込みは済ませていましたが、多笑(タワラ)の体を作り直すにはあまりに時間が無く、また、もしもう一度、タワラがリンクから逃げたがって全く立たない事態に陥れば、人間も犬も再起不能になってしまうのではないか、という恐怖心もありました。

 
それでもやはり、どういう結果であれ、不完全燃焼で終わりたくない。やれるだけのことを全部やって今シーズンを終えたいという気持ちが勝り、1週間の間に走り込みや、JR駅やホームセンターなどでの騒音及び人慣らしを重ねて、連合展に臨みました。

 
初めて経験する連合展でしたが、さすがに、北海道と東北6県から犬たちが集まるだけあって、タワラのクラス、小型・雌部・若一組には21頭が出陳。北海道支部展では9頭、秋田支部展では10頭の出陳でしたから、一気に倍増。その中で、7席までの入賞(若犬賞)を争うことになります。
 
 
開会式では、各道県の支部長さんたちが勢ぞろいし、審査員の先生がたや補助員のみなさんに加えて、来賓の大崎市(開催地)市長さんや、日本犬保存会本部の理事さん、猟能研究部の方等々見たこともない人たちがずらっと整列し、物珍しいとともに、その規模に圧倒されます。

連合会会長あいさつ

大崎市長祝辞

選手宣誓もありました。
こうして秋晴れの中、連合展は始まりました。
 
選手宣誓
 
秋田支部展の結果を思えば、今回は、とにかくタワラが逃げずに最後までしっかりと立っていてくれれば良し、を目標にしました。
 
 
午前中の第1審は、出陳犬を1頭ずつ呼び出し、日本犬標準に従って評価する個体審査。
審査員は西先生です。
 
 
初めに犬をじっと立たせたまま、審査員の先生が周囲をぐるりと回り、犬を前後左右から見て、また、遠くから見たり近づいても見て、体の構成や立ち方、耳や尾の状態、審査員の動きや審査員が与える音への反応などをこと細かにチェックし採点します。
 
 
次に犬を早足で歩かせ、歩様と肩、腰、背中の動きなどを評価します。
 
 
この日のタワラは秋田支部展とは打って変わって、落ち着いてしっかりと立ち、逃げたがることやアナウンスにビビることもなく、審査員への反応も良く、歩様も良く、まるで北海道支部展の時のタワラが帰って来たようでした。
 
 
秋田で知り合いになり、心配して見ていてくれた方々からも、アドバイスや、リンクサイドから応援もしていただき、そして、良しっ!と言っていただいて、KJも、どうなるか不安で仕方が無かった気持ちから、ホッとして、今日は戦えるという強い気持ちに変わりました。
 
 
KJのハンドリングに素直に従い、審査員に肉薄して(ちょっと近づきすぎです(笑))しっかりと立つタワラの姿を見て、なんとも健気でじーんと来ました。タワチョン頑張れ!
 
 
自分たちの出番が済むと、秋田ではタワラの状態に呆然としてしまい、他のクラスを見る気持ちにもなれませんでしたが、連合では、後々のためにと、雌を中心にできるだけたくさん見ました。
私たちの師匠、加我さんの紅東号は、秋田支部展での棄権から見事に立て直し、連合展では1席を獲得。おめでとうございます。
 
加我さんと加我の紅東(雌部・若二組)

いつもKJを応援してくださる金さんと紅の鈴花(雌部・壮犬組)
 
北海道勢は、今崎さんの尾張天女号も1席。
この子は審査の間中、微動だにしなかった。審査員が近づこうが手をかざそうが、本当にピクリとも動きません。こんな調教ができるんだと驚愕しました。
 
今崎さんと尾張天女(雌部・成犬組)

昼休みには、各地の支部展や連合展で本部賞(展覧会ごとに、壮犬賞、成犬賞を取った犬の中から、再度審査(第3審)をし、特に優秀な犬を選んで授与)を6回取ったいわゆる「完成犬」が、参考犬として紹介されました。
毛色の冴えといい、体のバランス、頭の形、尻尾の巻き、・・・私たち初心者が見てもなんて美しいと感じる、立派な犬でした。

参考犬の「天神の紅竜」
 
昼休みが終わると、午後の第2審は比較審査です。
同じクラスの出陳犬が、リンクの中心を向いてぐるりと並び、その中を審査員の先生が歩きながら見て、順位を付けて行きます。
 
 
タワラのクラスも21頭が並んで壮観。支部展の倍の規模に緊張しますが、タワラは引き続き、落ち着いて立っていました。
 
 
KJも、最初は、今回はとにかく最後まで立っていてくれれば良い、と言っていたのが、若犬賞入賞(7席まで)をめざす強い気持ちで、タワラを最大限良く見せるために、頑張っています。
 
 
そうして何と何と、第1グループ(入賞候補)として一番最初に手招きされ、前列に引き出されたのは、「羊蹄乃多笑号」でした。
見ているほうも興奮して震えが来ましたが、「いろいろなものが漏れそうになった」(笑)とはKJ。
 
 
しかし、ここからがまた厳しい戦いで、第1グループに引き出された犬どうしが比較され、優劣を付けられて席次が決められていきます。

 
ここまで来たら、1席でも上に行くべく、KJも必死です。
隣は、山形の堀越さんと福都女号。後から確認すると、プロの柴犬専門犬舎で、本部賞も何回も取っていらっしゃる。けれど、リンクの中ではそんなことは関係ないんだとKJ。自分と犬だけの熱い戦いです。
 
 
 
7頭が1席から順に並べられましたが、審査員がまだ決めきってはいない様子を見て、さらにアピールするKJとタワラ。
 
向かって左から順に1席、2席、・・・
 
審査員が立ち上がり、決定を宣言します。席次の入れ替えは無く、このままの並びで結審しました。
 
 
「羊蹄乃多笑」号、平成30年度秋期 第76回日本犬保存会東北連合会展覧会(第111回日本犬保存会宮城支部展覧会を兼ねる)において、見事、小型・雌部・若一組、優良4席・若犬賞を受賞しました!
 
 
惨敗と言える秋田から、わずか一週間での立て直しでしたから、スゴイスゴイと思って感動して見ていましたが、KJは何とか逆転して3席を取りたかったんだそうです。タワラと福都女では何が違うんだ?と覗き込んで見ています。
この日も審査終了後に審査員の先生に講評を聞きに行って、色々なことを学んだそうです。
 
 
そして改めて、展覧会は「いかに良く見せるか」勝負の場であって、知識と経験に裏打ちされた頭脳戦。犬だけが良くても、人間だけがシャカリキになっても勝てるものではないし、人も犬も、本番当日はもちろん、普段から「ボーッと(笑)」生きていて、あるいは立っていて、勝てるものではないということを、痛感させられました。
 
 
タワラより上位に選ばれた犬たちです。
向かって左から、優良1席・若犬賞・県内トップ賞の「櫻野鈴音」号(利府櫻井荘・岩手の三浦さん)、2席「美喜姫」号(大極荘・栃木の片柳さん)、そして3席「福都女」号(絢華誠和・山形の堀越さん)。この子たちの犬舎も日頃の訓練も、できれば見てみたいと思いました。
 
 
今回、雌部・成犬組では、出陳犬のうち半数が黒柴で、第1グループ(入賞候補)にも黒柴がずらっと並ぶという、珍しい風景が見られました。最近、黒柴は評価されにくいとの話もあり、展覧会では赤柴のほうが圧倒的に多いので、これはとても珍しいことです。

 
第1グループの比較です。
 
 
並びです。結審直前のものですが、このまま決まりました。
向かって左から、優良1席・成犬賞「尾張天女」号(神屋荘・北海道の今崎さん)、2席「秋花」号(ワタナベ・千葉の渡邉さん)、3席「神武の一里」号(高原末永荘・青森の谷地村さん)、そして4席「姫花」号はいつもKJを応援してくださる、青森の金さん(苫生荘)。5席までが入賞・成犬賞のところ、4席までを黒柴が占めました。見ごたえがありました。
  
 
そして、日本犬保存会の展覧会は、まだ11月末の全国展を残していましたが、それには申し込みをしていなかったので、この東北連合展で今年のKJ&タワラコンビの挑戦は終わりました。
 
 
思えば、右も左も分からない中で、わけのわからないうちに勝ってしまっていた北海道支部展から、まったく逆に、北海道と同じことをやったつもりでも、タワラがまったく立たず、それに対して人間にも手の打ちようが無く敗退した秋田支部展。
 
北海道支部展 優良1席・若犬賞・道内最高賞
 
秋田で負けた後は、わずか一週間でしたがタワラの突貫訓練(笑)や、展覧会前日からのエサの与え方、会場入りの仕方、車を停める位置、ウォーミングアップのやり方、出番を待つ間のタワラの管理などなど、北海道と秋田で見聞きしたことを、思い出しては議論し、真似したり、あるいは自分たちなりのやり方を決め、実行し、それでも不安だらけでドキドキしながら連合展に臨みました。
 
秋田支部展・優良6席
 
そうして、4席入賞という結果を得ることができ、結審後は「ヤバイ、泣きそうだ」とKJ。「本当に、あきらめずに行って良かった」
 
東北連合展 優良4席・若犬賞
 
今秋、9月~10月、北海道、秋田、東北連合と3回だけではありましたが、展覧会を戦ってみて、北海道からの長距離・長時間移動の金銭的負担、肉体疲労も半端ではないことが分かりました。
その間、プロの犬舎、プロの犬たちの戦いを追いかけて見る形にもなり、犬の良い状態を維持し続けることの難しさを目の当たりにしました。一方で、一度は負けても、ここぞという展覧会に狙いを定めて立て直しピークを持って来る手腕にも、うならされました。
 
 
知れば知るほど奥が深くて、難しい。大変な世界に踏み込んでしまったと思うのですが、今年の展覧会を振り返って、感想はどうだったかと問われれば、「楽しかった!」の一言だとKJは言います。来年の目標はと聞けば、迷うことなく「1等賞!」だと。
こういう性格、意外と展覧会適性があったのかもしれませんねえ(笑)
 
 
留寿都はもう一面の銀世界。この冬、タワラはもっぱら、雪中トレーニングで体づくりに励むことになります。ちょっと山すぎて、人気も無ければ物音もしないあたりが難点ですが(汗)

 
騒音や人、他の犬に慣らすためには、外国人の方含めて多くのスキーヤーでにぎわうニセコヒラフの十字街にでも遠征しないといけませんね。
 
 
日本犬保存会の展覧会シーズンは、春と秋。
来年の展覧会は、春、と言っても2月にはもう九州の各県から始まり、次第に北上してきます。
KJ&タワラコンビの始動は、たぶん4月、東北地方のいずれかの県になると思われます。
 
 
KJは毎日のように、今季、審査員の先生がたから指摘されたことを思い出し、書き起こしながら、「やるべきこと、できることはまだまだたくさんある!」と張り切っていますよ。
来年もまた頑張ろうね、タワチョン!

 


 


 


 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

2018年11月20日火曜日

展覧会を振り返る。(その1)


先週末、全国展への挑戦をされたみなさんには、お疲れ様でした。

「シェ・ドゥドゥ」夜は完全予約制です。
 
今年は全国展には行かず、先日、ワンコのいるニセコ(正確には蘭越町になります)のレストランで、早々と反省会を行った私たちです。

シェ・ドゥドゥ看板犬の「シド」

思い起こせば、8月、真夏の秋田で支部展会場の下見から始まった、今年の展覧会(平成30年度日本犬保存会秋期展覧会)への挑戦でした。


初戦は、9月、素人の私たちが、全く思いもかけずに優良1席・若犬賞・全道最高賞をいただくことができた北海道支部展。(小型メス若1組、9頭出陳中の1位)


ナビを頼りに会場に着いて、車を停める場所、審査開始前の犬の馴致や運動、出番を待つ間の管理の仕方も分からないままに突入し、周囲のベテランのみなさんを見よう見まねで。なのに、どうしてか多笑(タワラ)は自然に立ってくれて、一番先に呼ばれて。


そうして順に並べられ、最高賞という結果が出ても、審査員の先生への質問の仕方も分からず、タワラがどうして勝てたのか、私たち自身が分からないという。


「審査され、呼ばれる緊張だけがあり、周囲は見えないし、何がなんだかまったく何も分からないままに終わった」とKJ。

シェ・ドゥドゥ「道産サンマの白ワインマリネ」

それでも、タワラがどうやら展覧会で通用する素材であると知り、やおら、ホーマックから自転車を買って来てのトレーニングが始まります。


立ち込みの練習も、土の上、舗装の上、芝生の上と条件を変えながら、雨の日も風の日も毎日毎日。


シェ・ドゥドゥ「自家製のシャルキュトリ各種」

そうして10月、夏にわざわざ下見をしてきた場所でもあるし、北海道での好成績もあり、正直、相当な期待感を持って、秋田支部展に参戦しました。


ところが・・・。
 
向かって左から2人目がメス担当の中川審査員、3人目が斉藤支部長

ここへ来て、タワラが全く立たないという異常事態が発生します。
タワラがリンクの外へ逃げよう逃げようとするため、KJはそれを防ぐために引き綱を強く引っ張る。タワラは喉が絞まってゲヘッゲヘッとえづく。さらには、会場アナウンスの声にビビッて暴れる。引き綱をかける位置を変えてみても輪をゆるめても、1審の間中ゲヘゲヘオエッが続きました。


そんな犬は他に1頭もいません。審査の時間がものすごく長く感じ、周囲のギャラリーからも、可哀そうにという視線を感じて、いたたまれなくなります。
こんなこと、練習では一度も無かったのに。北海道支部展と同じようにやっているのにどうしたことか。


補助員の方からも綱を引っ張りすぎだと言われたけれど、ゆるめたら逃げちゃうんだよ。と、手の打ちようがありません。泣きそうになったとKJ。
1審が終わった時点で最下位を予感し、もう棄権しようかとの話も出ましたが、でもやっぱりそれは良くないよ。最下位から1席でも2席でも上げることを目標に、最後まで審査を受けようと。

シェ・ドゥドゥ「寿都産真鱈のポワレ、スープドポアソンのソース」

そして次の出番までの間に、立て直す努力をしました。今さらながらでしたが、他の組の審査の様子をリンクの外から見せたり、人と犬とで賑やかな会場をじっくり歩いたり、ぐるぐると走ったり。
そういえば、加我さんは早朝、会場に着くなり、連れてきた犬たちと時間をかけて走っていたなと。私たちは車をリンクから遠い静かなほうに置き、タワラを大事にしまったままにしておいたけど、本当は審査の前にそういう馴致、準備が必要だったのかと。


結果、2審では、ずいぶん状態が良くなったようにも見えましたが(実際にはまだ逃げようとしていたそうです)、審査員の先生はタワラの前を数秒で通り過ぎ、タワラが第1グループ(上位争い)に呼ばれることはありませんでした。


秋田支部展では、小型メス若1組、10頭出陳で3席までが入賞のところ、タワラは6席で入賞を逃しました。それでも、1審の最悪の状態からよく盛り返したと思いました。


この日は、自組の審査が終わった後に審査員に講評を聞きに行く出陳者が何人かいて、KJもそれにならって話を聞くことができました。「色は良い」だけど・・・ということで、「握りが弱い」「尾の巻きがゆるい」「音を気にしていた」「審査は1審で8割が決まるからね」などなど。

 
たくさん厳しい評価をいただきましたが、とても勉強になりました。
つまりは、犬そのものが悪いわけではなく、人間の鍛え方が悪くて、運動が足りず筋肉がしっかりとできていない、社会経験が不足しており騒音や人ごみに慣れていない。
 
 
KJ曰く、「北海道展の成績が良かったので、慢心があったかもしれない」「考えて見たら、北海道展の後はほとんど遠くに出かけることもしなかった」
 
シェ・ドゥドゥ「ラムのトマトソース煮、クスクス添え」(メニュー名失念(汗))
いつの間にかKJに抱っこされるシド(笑)
 
あんなに練習したのにどうして立ってくれないんだっ!?という、どこかタワラを責める気持ちから、
次第に、やるべきことをやってあげられなかった、申し訳ないことをしたなあ、という気持ちに変わります。
 
左から、秋田支部展小型メス若1組の1席、2席、3席
 
この日の本部賞争いでは、東北のすご腕ハンドラーと称される宮古さんの黒玉嵐と、かねてからネット上で拝見し気になっていた三沢市良荘の天道竜、北海道支部・加藤支部長の紅豊と、そして私たちの師匠、加我さんの加我の州との戦いを見ることができました。
 
一番右手前から加我の州、黒玉嵐、天道竜、紅豊
 
そして、展覧会と言い、犬を審査するとは言うけれど、やはりこれは人間による犬の見せ方の勝負でもあり、普段からの管理と調教、当日の準備とハンドリング、いざ異常事態という時の緊急対応まで、人間の努力と力量が問われる場であって、人と犬が文字どおり一体にならなければ勝てないということが良く分かりました。当然かもしれませんが、これは展示ではなく、競技だし試合だということです。
 


 
来る時と違い意気消沈しながらも、そんなことを話しつつ、会場を後にしました。指摘された欠点はすべて鍛錬によって改善できるもの。しかし、次となる東北連合会(北海道東北ブロック)展は一週間後に迫っており、これからタワラを鍛えなおして間に合うのかどうか。再び秋田のように、ゲヘゲヘなるのでは、展覧会にイヤな記憶を残すだけ。そもそも支部の集まりで頭数も増える連合展では勝ち目も無いし、行っても仕方がないのではないか。
 
秋田よ、また来年!
 
KJは悩ましかったと思います。
それでもあの独特の雰囲気や緊張感は、実際の展覧会でしか経験を積むことができないし、支部展以上に良い犬、上手なハンドリングがたくさん見られるはずの連合展には行ったほうが良い。何より秋田の結果では不完全燃焼すぎて、私たち自身が納得して今シーズンを終れない。
 



シェ・ドゥドゥ「余市産あかね(りんご)のタルト」

そうして私たちは、連合展への参加を決めました。

つづきます。