狩猟に使役される犬たちが、獲物に追いついた時、ハンターが来るまでの間、獲物をその場にとどめておく「猟芸」には、「吠え止め」と「咬み止め」の2種類があります。
玄の猟芸は「咬み止め」です。
無言で咬みつき、獲物が暴れてふりほどかれてもひるむことなく追いかけてはまた咬みつき、ひたすらにKJの到着を待ちます。
一方、米(ヨネ)の猟芸は「吠え止め」です。
玄といっしょに猟に出て、玄を見ながら猟を覚えているのに不思議ですが、ヨネは、獲物に咬みつくのではなく、周囲をとびまわりながら吠えかかり、獲物の気を引いて足を封じます。
いずれの場合にも一長一短あって、「咬み止め」は確実性が高いけれども、犬が吠えないのでどこにいるか探すのが大変だし、獲物に逆襲されたり引きずられたりして犬が負傷しやすい。
逆に、「吠え止め」の猟芸は、犬の居場所はすぐに分かるけれども、年長けて胆のすわった獲物には通用しない(迫力負けして逃げられる)ことがあります。
ヨネもそのうち咬みつくようになるのか、玄がいなくなった時にどうなるのか、ヨネの子どもはどうなのかなどなど、これまた興味は尽きません。
いずれにしても、猟場での2犬の姿を見ていると、日本犬の本質とされる「悍威、良性、素朴」、また、その表現とされる「(感覚)鋭敏、(動作)敏捷、(歩様)軽快」は、石器時代からこうして獲物を追ってヒトとともに山野を駆けめぐることによって培われ、それが現代を生きる柴犬の中にもDNAとして脈々と受け継がれていることを実感します。
イノシシ狩り、シカ狩りの銅鐸の絵
(左:5頭の犬を使ってイノシシ狩りをしている)
曰く、私たちはハンターです。
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