2016年3月26日土曜日

後継犬のこと(つづき)


昔は、犬は家の外につながれているものだったし、雑種犬が多かったし、健康のための避妊や去勢をしていない犬も多かったように思います。

実は外につながれていたこともある、玄ちゃん

近所のあちこちに子犬がいたし、犬は、ペットショップやブリーダーから購入するものではなく、どこかからもらうか拾ってきて飼い始めるものだったような気が・・・。

玄 1か月 (札幌加我荘)

でも今は、外飼いの犬も滅多に見かけなくなったし、柴犬のメスを避妊手術をしないで飼っている方はほとんどいらっしゃらない。つまり、お嫁さん探しからして非常に難航しました。

とても仲の良いメスがお隣の村にいて、この子は外飼いかつ避妊をしていないという希少な存在なのですが、飼い主の方曰く、その子に発情が来たところは見たことがないという(涙)


それでも丹念にネット検索をする中で、子犬をとりたいというメスを見つけたことも2度ほどありましたが、その頃は、私たちに柴犬の交配についての知識があまりに不足しており、せっかくメスに乗駕した玄を適切に介助してあげることができず、失敗に終わるなど、繁殖が実現することはないままに、時が経過していきました。

そして玄が6歳を迎えた時、いよいよ時間的に猶予が無いと判断した私たちは、玄を購入するときにアドバイスいただいたOさん経由で、玄の出身犬舎である札幌加我荘を頼ることにしました。

玄 6歳

Oさんと加我さんには本当に良くしていただき、加我荘のメスに発情が来れば、玄を連れて交配に行ったり、逆にメスを借りて留寿都まで連れてきて、交配を試みたり。

玄の父 黒竜号

しかし、柴犬のオスはとてもデリケートで、自分の縄張り以外では交配できないとか、一般的に、若い時に一度でも交配させていないとメスに乗駕しなくなってしまうとか、さまざまな原因が考えられるようですが、これまでに繁殖が成功することはありませんでした。

玄 7歳

そうして直子による後継はもう無理なのではないかと考え始めていた時に、奇跡的に、本当に奇跡的に、昨年末に木夢2さんで出会うことができたのが「ふぅちゃん」です。


そこから話は急展開。木夢2ママさんの強力な仲人力と、チーム木夢2(?)の常連さんたちの応援力によって、話はトントン拍子に進み、出会ったその日に、このカップルによる繁殖プロジェクト(!)への挑戦開始が決まりました。


ふぅちゃんは、メスとしては大柄で、バランスの良いプロポーション、性格も、チャカチャカしたりウルサイところが一切無く、人見知りや物怖じしない実に堂々としたワンコさんで、留寿都でのお預かり期間中、玄とはもちろん、家族や他の犬や猫たちとも全く問題なく過ごすことができました。


それは、私たちが、優秀な猟犬であり同時に優秀な家庭犬でもある、柴犬に望む姿にあまりにぴったりなので、留寿都の家族たちからは、いっそ、ふぅちゃんそのものをもらえないのだろうか?との話も出たほどでした(笑)


それに、このカップルの相性はとても良くて、いっしょにランに放せばいつまでも飽きることなく楽しそうに遊んでいます。



こんなふうに、玄が自分からお腹を見せて遊びに誘うワンコは、これまでドンちゃん以外に見たことがありませんでした。



そして、ついに。
ふぅちゃん家を始め、木夢2ママさん他、多くのみなさんからのご協力をいただき、今、ふぅちゃんのお腹の中には玄の子どもがいます。


玄とふぅちゃんの子どもですから、必ず良い子であると信じます。



出産や子育ては、メスの側の負担が大きいもの。
ふぅちゃん家に心から感謝しながら、今はただ、ふぅちゃんが無事に出産を終えるようにと祈るのみです。



今回、玄の直子による後継を真剣に考え始めてから、何年間も、決してあきらめないKJの粘り強い取組みと、ブリーダーさん、獣医の先生たち専門家によるご指導、最後は何より柴好きネットワークのパワーによって、もちろんまだまだ予断は許されませんが、ついに、繁殖の成功が見通せるところまで来ることができました。

その過程で、柴犬の繁殖の難しさについて、多くのことを学ぶこともできました。


一方で、これまで他の犬種でも直子による後継に挑戦してきた経験上、そのようにして得られた直子が必ずしも、ペットショップやブリーダーさんから購入する子犬を上回る猟能、性質を備えているとは限らないのも現実です。

時間的、経済的負担も決して軽くはありません。


それでもなぜ、KJが、玄の直子にこだわったのかと言えば、それはたぶん、柴犬の遺伝子に未だオオカミの遺伝子の記憶が色濃く残っているように、玄の直子であれば、その遺伝子に、玄がこれまでKJとともに過ごした、数え切れないほどの猟場の記憶、戦いの記憶がしっかりと刻まれ継承されるはずと考えたからなのではないでしょうか。


「柴犬とヤマドリ猟」の著者は、柴犬を愛する理由を「我が魂の叫び」と表現されています。

玄 7歳 吹雪の白糠でシカを探す

どうぞ、ふぅちゃんが無事に出産しますように。
どうぞ、玄とその子たちと、私たちハンターが、皆で猟野に立てますように。
























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