柴犬を飼っている方ならご存知と思いますが、世界の85犬種のDNAを解析した結果、柴犬が一番オオカミに近かったという研究結果があります。
現代を生きる柴犬の中にも、本能としての猟能が豊かに残っていることの証拠であると思います。
玄を育てるに当たって私たちが参考にした本には、柴犬を狩猟犬に育てるためには、「何も訓練しなくていいから、ともかく可愛がって飼って」とあるのです。
もちろん、この場合の可愛がるとは、ペットとして家庭内で可愛がることではなく、鉄砲を持ち、柴犬を連れて、ただひたすらに山を歩くことを言います。
共に山を歩けば、訓練しないで柴犬を狩猟犬に育てる方法(群馬式)を、犬自身が教えてくれる。だから柴犬は楽しいよ!というのです。
実際、私たちも玄に対しては、他に3頭飼っているカモ猟用の洋犬(レトリバー)のような訓練をしたことはありません。
玄1歳 初めての穂別出猟
いつも車に乗せて村内の駆除巡回に同行させ、ハンターによる捕獲行為を見せているうちに、いつの間にか、シカがいれば鼻を鳴らして教えるようになり、ハンターが撃ち落としたトリ、弾が当たったシカを探すようになっていたというのが実感です。
3歳 初めての白糠出猟
経験を重ねるにつれて、シカの探し方も堂に入り、最初は尻尾を巻いて逃げていたクマを怖がらないようになり、苦手だった川もある程度の深さであれば渡れるようになりました。
6歳 初めての102高地
確かに柴犬は面白い!
渡河
特に一昨年から、村内のシカ駆除頭数が急増している中で、雪が積もる前のシカは撃たれても相当な距離を走って逃げ、多くは笹薮などの中に入ってから倒れているため、その効率的な捜索には玄の存在がとても重要であり、他のハンターからも「玄を貸してくれ」との要請がある程でした。
現在7歳の玄は、人間の年齢に換算すると44歳ぐらいの働き盛り。経験を加えてその働きぶりは、ちょうど一昨年、昨年ぐらいからピークを迎えていると思います。
しかし一方で、人間であれば44歳という年齢は、白髪が目立ち始めたり体力の衰えも気になり始める年代です。逆くしゃみを発症したり、狩猟の後の疲れぶりというかあまりに見事な寝入りぶりなどから、玄の加齢を実感せざるを得ないのも現実です。
そうした中で、私たちは、玄が良く働き元気でいるうちに、と、後継犬の確保を真剣に考えるようになりました。
やはり犬は犬どうし。狩猟の際の働き方は、先輩犬といっしょに連れ歩くことで、その様子を見て学ぶのが最も早いと感じているからです。
左からドンと玄(3か月)、マッシュ
その際、冒頭に記した通り、柴犬であれば潜在的猟能を、たぶん全ての個体が有しており、後継犬は必ずしも玄の直系子孫である必要はありません。
また、どのような個体であっても、群馬式にならえば、ただひたすらKJが駆除や狩猟に連れて歩くことで、あるいは犬は犬どうしの理屈からすれば、その子犬を玄につけて歩かせることで、おそらく血筋を問わず狩猟犬に育つことでしょう。
そもそも玄だって、狩猟犬用に作出された特別な子犬ではありませんでした。
玄 3か月
しかしながら、玄の長所は、これは多分にひいき目が入ってしまってはいますが、単に狩猟を良くするということだけでなく、同時に優れた家庭犬でもあるというところにあります。
先代猫のピーと。
特に厳しくしつけたわけでもありませんが、無駄吠えや拾い食い、噛み癖などがなく、子どもたちや、同居猫ともトラブルを起こしたことがない。(ただし、オス犬とはダメです(笑))
そうした穏やかで優しい性格が、KJの家族や周囲の人たちからも愛され、この際、KJが玄の直子をとることを目指そうと思う、強い気持ちにつながっていきました。
今いる猫のフットンと。
しかし玄の子づくりは、簡単なことではありませんでした。
(つづく)
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