つまり、北海道のあちこちで、毎日シカが列車とぶつかって約7回のJR事故が起き、同じく自動車とぶつかって約5回の交通事故が起きている計算。
これはやはり、シカが増えすぎたゆえの異常事態であって、北海道では、23年度時点で64万頭いたとされるエゾシカを、28年度末までに38万頭に減らす計画を立てています。(しかし、25年度時点ではまだ56万頭までしか減っていないという・・・)
さて、そのようなわけで、北海道ではたくさんのシカをとらなくてはならないために、シカ肉の消費拡大を進め、最近では、どさんこプラザ、HUGマートといったアンテナショップだけでなく、コープさっぽろ、イオンでも、シカ肉やその加工品を販売してくれるようになりました。
私たちは、牛肉や豚肉と同じようにきれいにパッケージされたシカ肉をスーパーマーケットで買うことができるようになったわけですが、その一方で、エゾシカの駆除や解体は決してきれいごとではないという現実もあります。
店頭からは決して見えない作業ですが、解体方法について質問されることが多いので、参考のために順次、書き記しておきたいと思います。
(北海道に住んでいる方なら、シカを丸ごといただくことがあるかもしれませんし?)
以下は、ロース肉とモモ肉のとりかたです。
ただし、解体シーンになりますので、そうしたことが嫌いな方、血などの苦手な方等は見ないようにしてください。
シカの解体方法は、所属するチームによって異なります。以下は、留寿都のやり方です。
まず、シカをうつぶせに寝かせ、両手両足を広げておきます。この時、肉の汚染を避けるため、下には清潔なブルーシートなどを敷きます。
背中の皮を持ち上げ、背骨に沿って一直線に切れ目を入れ、毛が肉に付着しないよう外側にめくりかえす感じで、左右に皮をはいでいきます。首の付け根から尻尾の位置までです。
次に、背骨にそってナイフの刃を入れると肋骨の付け根につきあたりますから、つきあたったらそのまままっすぐ、後ろは骨盤の位置(つきあたる)まで切り下がります。
ナイフの刃を逆に向けて、前は首の付け根まで切り進みます。
背骨に沿って切った一番後ろの(つきあたった)位置から骨盤の前縁に沿って斜め前に切れ目を入れ、三角形にとがった端っこを持って前方にひっぱりながら、肋骨のカーブに沿ってナイフを使い、後ろから前へとはぎとる感じでロース肉をはずしていきます。
首に近づくと肩甲骨にはさまれて切りにくくなりますが、ステーキなどに適したロース肉は柔らかくてクセもない高級部位なので、ナイフを寝かせて奥まで差し込み、できるだけ長くロース肉をとります。これを、背骨の左右で行い、1頭のシカから2本のロース肉をとります。
モモ肉をとるときは、シカを仰向けに寝かせます。後足の皮をはがします。
ちょうど股の真ん中を、恥骨結合部に向かってまっすぐに切ります。
少し外側に切り進むと股関節(大腿骨頭)が現れますので、足を大きく広げてこの股関節をはずし、骨盤の形に沿ってナイフを進め、体から後ろ足を取り外します。
(さらっと書きましたが、この作業はとても難しく、無駄なくキレイに外せるようになるには熟練を要します。)
外した後ろ足から大腿骨を切り出して行きます。
切り出した大腿骨を持って持ち上げると、モモ肉は自重ではがれ落ちてきますので、ひざ関節の位置でカットして、すね肉を残し切り離します。
モモ肉の固まりがとれました。これを、左右の後足で行い2つの固まりをとります。(解体はここまでですが、この後、肉をさばく作業では、固まりをさらに、外モモ、内モモ、シンタマなどいくつかの部位に分割します。)
通常、解体はさらに、心臓、肝臓、ヒレ肉、あばら(バラ肉)、腕(カタ肉)、そして手足の腱と、角をとる作業がつづきます。
1頭のシカを完全に解体し終わるまで、どれぐらいの時間がかかるでしょうか・・・初心者なら3時間、ベテランのKJでも1時間。なかなかの重労働、そして、ずっとかがんだままで行うので腰が痛くなる作業です。
ですが、命をいただくという作業は大変で当然だと思うし、だからこそいただいた命は余すことなく活用したいですよね。
解体があった日はリッチなご飯の玄ちゃん
内臓のとりかたなどは、また次の機会に。
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